原子力の安全性については福島で実証されたことは明白なはずであるが、今もって、あれは神のなせる所行だの、菅災だのとの議論がやかましくされている。原子力については国策の名の下、立地から補償まで原始福祉政策が手厚くされているところに問題がある。
原発を有する電力会社に次の質問をしたい。
原発に関する公開質問状
1. 現在保有する原発は安全でどのような事態でも、福島のような事故にはならないと考えていますか? Yes / No
2. 原子力はベースロードをまかなう点で経済合理的な発電方式だと考えていますか?
Yes / No
1.で安全とお答えになった会社は次の質問にお答えください
3. 国の損害補償制度は打ち切った場合、原子力を独自に継続されますか?
Yes / No
2.で経済性があるとお答えの会社は次の質問にお答えください。
4. 国の放射性廃棄物処理の補助を打ち切った場合、原発を独自に継続されますか?
上記の3、4にYesと答えた会社は次の質問にお答えください。
5. 原発に起因する障害、死亡などの事故が発生した場合、業務上過失傷害、致死を、原発の設計、建設、運転、保守の責任者に厳密に課す法律を制定がされた場合においても責任をもって原発の継続をされる意向ですか?
Yes / No
ノーベル経済学者スティグリッツ教授などが指摘するように、社会の合理的な経済活動を妨げる大きな要因としてエージェント問題におけるモラルハザードがある*。この理論によれば、国を原発の依頼者、電力会社をその請負人(エージェント)とすると、電力会社にはリスクを過小評価し、安全対策を安く見積もった情報しか国(国民)に対して出さないというインセンティブが働く。なぜならば、いざという時の費用は全部国が見てくれるわけで、そうした確率的に低い(10%以下でしょうか?)を考慮した経営はむしろ、間抜けな非合理的経営ということになる。原発の事故隠し、活断層、設計基準などの情報改ざんといった行為は経済学的にはエージェントとしての合理的な経済行動なのである。つまるところ、いくら周りで騒いでも防ぐことはできないのである。
ならば、全部、経営者の個人責任でやりなさいといったほうが、本当の情報も出さざるをえないし、安全への投資も十分行われるということになる。国策という看板をおろした後も、びびることなく原発を続けられる経営はいるだろうか?
*このモラルハザードの問題は金融セクターにおいても最大の問題である。サブプライムに端を発する金融危機も無謀な貸し付けを助長する構図が要因である。今回の東電では金融不安を理由に破綻処理が進められており、Too-big-failの理屈をよく理解する銀行団はためらいもなく2兆円の貸し付けを事故後に行っている。いわばダブル・モラルハザード、アレバ社の途方もない汚染水処理システムを入れるとトリプル・モラルハザード、まあ、みんなでよってたかって国民からむしり取っているという悲惨な状況である。
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