日本が世界に唯一最先端を行く高齢化。皮肉にも原発もそれに歩みを合わせている。他の国々が
普通20-30年で廃炉にするところを日本だけはいつまでも使いまわそうとしている。日本には30年を超える原発が19機も運転されている。
世界に胸を張って「モッタイナイ」と「敬老精神」の発露と言えないところが悲しいところ。
結局のところ、日本の原発は多くの老朽化原子炉が太平洋のRing of Fire 火山帯という最も危ない場所に最も頼りない原子炉が林立している状態だ。
原子炉の圧力容器はスチール製であるが、長期使用すると炉内で発生する中性子でぼこぼこになり脆くなってくる。通常は原子炉は300度前後の温度で運転さえれているが、急激に冷やすとぱっくりとお釜が割れる危険がある。この割れる可能性の温度のことを脆性遷移温度という。新品の原子炉はマイナス10度以下でしか割れないが、それが玄海一号機になると今は98度までこれが上昇しているという結果が九電の検査で明らかになっている。
原子炉に問題があった場合には緊急冷却装置が作動し、熱暴走を防ぐのが最も重要な対策であることはすでに広く知られていることである。福島第一の場合にもECCSは作動したが、作業員が手動で停止している。
http://www.asahi.com/politics/update/0517/TKY201105170193.html
なんでそんなことをしたのかといぶかしく思った人は多いだろうが、報道ではこれはマニュアル通りの手順としていた。福島第一という老朽化した原子炉の脆性破壊の危険性を考えた場合にはこれはきわめて正しい。福島第一の一号機は39年、二号機は36年、三号機は34年選手である。72年以降のデータがないがその時点ですでに50度を超えた脆性遷移温度が報告されているから、現在は玄海と同じような状況だったのかもしれない。つまり、福島は冷やさなければ、メルトダウン、冷やしすぎれば、原子炉崩壊という難しい綱渡りの緊急事態対応だったということになる(今の状況は不運ではなく、原子炉崩壊とか、水蒸気爆発が起こっていないだけ、とても幸運なのかもしれない)。
この老朽化については原子力情報資料室の以下を参照されたい。
「原子炉の照射脆化、脆性破壊に関する検討」
原発老朽化問題研究会
http://cnic.jp/files/roukyuuka20110312.pdf
前回も玄海一号機の危なさと老朽化原子炉廃炉について書いたが佐賀新聞も取り上げている。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968174.article.html
ということで、是非にも老朽化した原子炉の停止を次の課題としては我々は取り組まねばならない。
その妥協策として書いた「2開1停のすすめ」もぜひご批判いただきたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿