シャープの苦境
最近の経済情報を読むとどうもシャープがやばいらしい。借金がかさんでいて、かつ株価が暴落しているので、台湾の救世主からの投資もうまく進んでいない。
集中と分散
マネジメントコンサルタント、インベストメントバンカーでもてはやされ、企業が商品のように取引され、工場も切り身で売買され始めた頃から、その論理ベースとして使われたのがこの「集中と選択」であった。その少し前にもてはやされたのが分散によるリスクの最小化を唱える「ポートフォリオ理論」だったことを考えると、シャープの栄枯衰勢も経営哲学のサイクルのレガシーと言えなくもない。
基本に帰る
最近の経済情報を読むとどうもシャープがやばいらしい。借金がかさんでいて、かつ株価が暴落しているので、台湾の救世主からの投資もうまく進んでいない。
日本の凋落する家電の中にあってほんの数年前までは世界の液晶TVのトップランナーとして意気軒昂だったように思うのだが、最近の栄枯盛衰のサイクルの短さには正直ついていけない。
重電からTVまでを手掛ける東芝、日立、あるいは液晶TV優位を見誤ったソニー、パナソニックをしり目に高級TV路線を独占するために果敢な集中と選択の戦略をとりシャープはマスコミの寵児であった。実際にシャープの売り上げは倍々ゲームで2001年から伸びていた。
現在、赤字を垂れ流しているがその中核部門の液晶TVとソーラーパネルだということで、どちらも吉永小百合さんのコマーシャルの印象が強い。液晶では世界の亀山と誇った巨大工場が足かせになっているようだ。コピー機とかクーラーとかは黒字で、中核部門の赤字を補完できるわけがなく、巷の噂ではコピー、空調部門を売り払うのではないかとの憶測さえ流れているようだ。そうなると赤字だけの企業になるかもしれない。赤字をなくすのであれば、むしろTVとソーラパネルを売り払うべきかもしれない。
集中と分散
結局のところ、集中と選択というのは長い目で見た場合には正しい戦略なのかを疑う必要はないであろうか?都市でいえばかつてテキスタイルで栄えたイギリスのリバプールとマンチェスター、今やイギリスの中でも衰退した都市の象徴である。社会学者で都市の歴史を研究で著名なジェーン・ジェイコブズはこうした一産業に特化した都市とより複合的な産業集積都市であるバーミングハムを比較して、より複合化した都市のほうが長期的には繁栄を維持しているとしている。企業についても同じことが言えるのではないか。
電機業界の覇者であったソニー、パナソニックの時代には日立、東芝という重電を屋台骨とする企業は常に後塵を拝していた。集中と選択を強化したシャープに対しても随分と見劣りがしたような気もする。そうした企業がいまや、数少ない黒字企業となっている。勝負は数年では測れない、100年生き残る企業はなかなかいないということかもしれない。
マネジメントコンサルタント、インベストメントバンカーでもてはやされ、企業が商品のように取引され、工場も切り身で売買され始めた頃から、その論理ベースとして使われたのがこの「集中と選択」であった。その少し前にもてはやされたのが分散によるリスクの最小化を唱える「ポートフォリオ理論」だったことを考えると、シャープの栄枯衰勢も経営哲学のサイクルのレガシーと言えなくもない。
基本に帰る
シャープのことを調べ始めて、初めて知ったのだが、金属製のシャーペンを開発し、その普及のきっかけとなったはシャープで、社名自体もそこに由来するらしい。社是は他社がまねするようなものを作ること。液晶TVはみごとにまねされて、存亡の危機に陥っているが、ぜひ「他社のまねできない」ものを作る会社に復活してほしいと願っている。
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