2014年5月3日土曜日

日本ODAの変化

昨今の日本のODAは、日本企業の海外進出支援が一つのはやりとなっている。その背景には、かつては途上国であった韓国、中国に海外市場で後塵を拝するようになってきて、日本産業界の競争力に陰りが見え始めたということがある。アベノミクスによる円安誘導にもかかわらず、輸出は伸びず、割高になった石油・ガス輸入額だけが伸びて、貿易赤字を垂れ流してる現状に政府のあせりもある。経団連等産業界はODAの裨益が少ないと批判を続けていたということもある(よく引き合いに出されるのが円借款事業の日本企業受注率が3割程度という数字だ)。
他方、途上国に駐在の日本人に話を聞くと、彼らが現地で商売をする上で、ODAは大いに役に立っているというのだ。紐付きでない、日本の援助、総じて、役に立っていると途上国の人々は好感を持って受け入れている。その意味でODAを通じて日本人総体としての人の良さみたいなものを感じていると言っていい。
英国、米国、フランス当たりのODAは国家戦略に基づいて、自国、産業政策に結びついた巧妙な仕組みになっている。サッチャーが売り込みをしたりしたことを日本の産業界はずっと指をくわえてみていたのだ。日本はあまりにも純粋に相手国のニーズ中心で、日本経済界の裨益がまったくもって少ないという批判に呼応して制度変革が起きかけているということだ。そこで円借款も日本の企業受注しやすいものが優先となる。
貧すると鈍するという。これまで築いてきた日本のソフトパワー(ODAによる日本への尊敬の念)というものを、壊すことにならないことを願ってやまない。